By CANARUさん
「みゅ〜みゅ〜みゅ〜〜みゅ〜〜〜〜〜〜♪」
何時の頃からであろうか・・・?????
すっかりここ、ゼフィーリアの豪商、インバース家に住み着いてしまった金髪、碧眼の可愛い可愛いクラゲしゃんは今日もご機嫌である。
「みゅううう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜???」
きょうは、とってもとってもおてんきがいいぞお〜〜〜〜♪よっし!きょうは、ひとりでおさんぽにいこうかな!!?
すっかり温暖の気候になってしまい・・・桜もすでに葉桜となってしまってはいるが。
何はさて置き、今日はクラゲしゃんの言うとおり本当に絶好のお出かけ日和であった。
「みゅみゅみゅうう〜〜〜〜〜♪」
りなはおでかけだし・・・・るなさんはばいとだし・・・おっさんはつりざおのていれによねんがないし・・・ままりんはいどばたかいぎだし・・たまにはひとりでぼうけんだぞお〜〜〜〜♪
すっかりクラゲ語で独り言を言いながら・・・その気になったクラゲしゃんがトテトテとお外から一端おうちの中にある小さな小さな「クラゲ小屋」に戻って。
お出かけの支度をしよう・・と決心を重ねたその時であった!!!!
「ううううう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
花びらが完全に飛び散った葉桜の陰に隠れながら・・・・。
今やすっかり『番犬姿』の愛称も定着してしまったスポットにマントを噛まれながら。
ジ〜〜〜〜〜っとクラゲしゃんを監視している『何者』かの影が躍動し始めたのは!
「ふふふふふ・・。クラゲしゃん、この春の陽気に誘われて。何かを企んでいる様子ですが。この僕は、そ〜〜んな貴方の行動を見逃しませんよ・・・ふふふふふ〜♪」
「ぐるるるるるるるるるるる・・・キャン、キャン!!!!」
さしものスポットもこの『何者』かの独り言には恐れをなして逃げ出してしまった。
(無論、そんなことがルナさまにバレたら。今日の飯抜き程度の罰ではすまないことだけは予め告げておく・・・)
「ゼルガディスさ〜〜ん!!あの人!変です!!!!」
「ああ・・・確かに。尋常ではないな。アメリア!警察に通報だ!!!」
「分りました・・早速110!!って・・ゼルガディスさ〜〜〜ん!この携帯電話〜〜〜〜!警察に通報できないです〜〜〜うえああ〜〜ん!正義が・・正義が〜!」
「・・・・あのな・・・市外局番ちゃんとプッシュしたか?そうせんと・・・携帯電話では通じないぞ・・?アメリアよ・・・」
桜の木の下を通りかかったカップルたちも其方の方向に怖い物見たさに目を走らる。
「お〜〜〜ほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほ!!!
フ!まだまだね・・。あの程度のファッション・センスでは・・・」
同系等の『怪しい人』にまで思いっきり真っ白な目を向けられて・・・・。
「ふふふふふふふふふふ・・・・それでは・・・クラゲしゃん・・・僕の計画を早速実行させていただきますよ・・?ふふふふふふふふ・・・」
社会の不安要因には一切目を向けることのない楽天的・・ある意味でラテン系のノリの『何者』かは・・・更に深く怪しく含み笑いをしながらクラゲしゃんがおうちから出てくるのを葉桜に埋もれながら待っているのであった!!!!
「みゅ〜〜みゅ〜〜〜みゅう〜〜〜〜♪」
よ〜〜〜っし・・・おべんとうもったし・・・かめらももったし・・・はんかちもてぃっしゅももったぞおお〜!よ〜〜〜っし・・・ぼうけんのたびにれっつ・ご〜〜だ!
パタンっとクラゲしゃん専用の扉から勢い良くインバース家から外に出てきたクラゲしゃんは・・・その時、初めて『なんらか』の気配に気がついたのである!!!
「みゅう!みゅうう!!!!!」
だれだ〜〜〜〜!でてこい!!!!
爪楊枝の剣を握り締め・・・クラゲしゃんは何者かが潜んでいるであろう桜の木に向かってやおら鋭い視線を走らせた!!!
「ふふふ・・・流石はクラゲになってもガウリイさんですね〜ふふふ・・・。この僕が!
ジ〜っとここに潜んでいる事に気がついたのは!貴方が初めてですよ!ふふふ・・・何を隠そうこの僕は!!!」
そして・・・それはやおらラーメン柄のマントをばさああ〜〜〜っと風に靡かせて!
頭には何故か漢字で『王』と書かれた王冠を被っているではないか!!?
そんな彼の姿をマトモに見てしまったクラゲしゃんは!!!!
「みゅ・・?みゅうううううう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜みゅ!」
なにへんなあそびをはつめいしているんだ〜〜〜〜?ぜろす〜〜〜〜!
パタパタっと爪楊枝を振り回しながらそう質問するだけのリアクションに留まるのであった・・・・。
ちなみにクラゲしゃん以外のガキんちょ達に潜んでいるところを発見され・・。
顔や頭、洋服にはたくさんの落書きがあったりするのもミソという情けない姿に成り下がっている、『ソレ』ことゼロスがコケた事は言うまでも無い。
だが、意外と早く『ソレ』ことゼロスは立ち直って立ち上がりつつ!
「ゼロスじゃありません!僕は何を隠そう!『書初め大王』なのです!何しろ『群狼の島』で5000年前のすずりが発見されましてね!そこで・・遺跡発掘チームのプロジェクトリーダをしていたこの僕は!早速5000年前の墨の書き心地を試してみるべく!『書初め大王』になったのです!!この王冠が目に入らないのですか〜〜〜〜!!!」
「・・・・・・・・みゅううううううううう・・・・」
おれ・・・・かんじわからないぞ・・・・????それにだ・・・・・。
『かきぞめ』っていうのは〜〜ふつうおしょうがつにやるものじゃないのか・・??
クラゲしゃんにしては珍しく・・・。
ジト目で不信感を拭いきれない心情丸出しでゼロスを見遣るクラゲしゃんだったのだが。
「チチチ!甘いですね・・・ガウリイさん!良いですか!『かきぞめ』とは漢字で『書初め』と書くのです!『初夢』『初物』『初詣』といいますが・・・。それは正月にするからではありません!今年に入って初めてやるからこそ!!!そ〜言うの
ですよ!!」
何時の間にか用意したのだろうか・・・????
5000年前の硯・・とやらに筆をつけ・・・更にその筆をビシっとクラゲしゃんの方に差し出しつつ熱弁をするゼロス!!
そんなゼロスにクラゲしゃんはますっます呆れ果ててしまったように・・・。
「みゅう・・・・・みゅうううううううううううう・・みゅうううう」
だから〜〜〜・・おれ、かんじわからないって・・・・。
それに・・・そんなごろあわせ・・・いまのよのなかでつうようはしないぞ・・??
と、一応突込みらしき事は入れてみたりするのであった・・・。
「兎に角!普通の半紙なんかに文字を書くというのなら!!!それはこの5000年前の硯に対する冒涜・・というものです!!さあ・・・クラゲしゃん・・・。貴方には僕の書初めの実験台になってもらいますよ・・・?????大人しく羽根突に負けたとおもって僕に習字をさせせてください・・・・」
クククククッと、ますます怪しい微笑を浮かべるゼロスにクラゲしゃんは。
「みゅうううう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
さっきまでおしょうがつをひていしてたくせに!!おしょうがつねたになっているぞ!
と、一応絶叫をしつつトタタタタタタタタタタタタっと逃げ出しにかかるのであった!
「ふふふふ・・・逃げられやしませんよ。それに四月は新年『度』の始まりです!
さあ・・進級・進学の皆様にお祝いです〜〜〜!!!!」
と、尚もクラゲしゃんを追いかけてくるのであった!!!!かくして・・・・・。
「みゅううううううううううううううううううううううううう〜〜〜〜〜〜〜!!!」
クラゲしゃんの悲痛な叫び声がインバース家のお庭一体に響き渡るのであった・・。
「あ〜ん?天然の奴。今日はやけに騒いでやがるよなあ〜?あ・・・。釣竿の糸が切れやがったな・・・何か不吉な事でも起こらなけりゃいいがなあ・・・」
などと言いながら・・・・。
「我関せず」を完全に決め込んでしまったパパリンは他の作業に勤しんで・・・。
コメの粒ほどもクラゲしゃんを助けよう・・などとは考えてもいないご様子であった。
「みゅううううううううううううううう〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
その間にも・・まだまだクラゲしゃんの絶叫はお庭、そしてゼフィーリア全土に木霊していた・・・・・。
「みゅうう・・・・みゅうう・・・・・」
トボトボトボ・・・トボトボトボ・・・・っと・・・・。
クラゲしゃんは少々・・・落ち込みながらインバース家のお庭を歩くに至っていた。
「みゅうううう・・・・・・・・・・・・・・・・・」
どうしよう・・・このままじゃ・・ぴくにっくになんていけなくなっちゃたぞ・・??
それに・・・このままおうちにはいったら・・きれいずきなままりんとるなさんにおこられちゃうしなあ・・・・・。
池の水鏡に映し出された墨で真っ黒になってしまった自分のお顔&触手を眺めつつ。
クラゲしゃんはおめめに一杯涙を溜めて壮大な溜息をもう一度ついてみた。
と・・・・その溜息が吐き出されるのと同時に・・・である!!
ガシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンン!!
不意に何かを・・思いっきり地面に落としたかのような音が聞こえてきたのは!
「て・・・天然!その真っ黒いのはどうしたんだ!おい!!!」
恐る恐るクラゲしゃんが振り返ってみれば・・其処には驚愕に表情を引き攣らせているパパリンが立て居るではないか!!
「みゅ・・・・」
じ・・・じつは・・・おれ・・・・・・・。
流石に書初めの半紙にされた・・・とは恥ずかしくて言いにくく、一瞬口ごもってしまったクラゲしゃんだったのだが。
「言うな!天然・・お前の言いたいことは分っている!ああ・・・言い辛いだろう・・そうだとも!その悪血(おけつ)!!!!真坂お前が・・『不治の病』にかかっていやがったとは!!!!」
ビシっとクラゲしゃんを思いっきり指差しつつ・・背後に雷すら漲らせて自信満々に
パパリンはそんな事を言い放つではないか!!!!
「みゅう・・・みゅううう〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
お・・・おけつ・・?おけつってなんだ・・・・??????
「ああ。お前が誤魔化している事はよく分っている!安心しろ!リナの事は父親の俺がきっちり育てるからな!お前は安心して養生しろや!!早速病院に連れて行ってやるからな!そうか・・そうか・・・。其処まで酷い悪血になっちまうとは・・・・。
気付いてやれなくて俺も悪かったやな・・・・・」
うんうんっと頷きながらパパリンはクラゲしゃんの触手を握り締めながら自己満足したようにそんな事を言うのであった・・・。
「みゅううう〜〜〜〜〜〜・・・・・・」
まさか・・びょういんって・・・まちはずれのしゃぶらにぐどぅいいんじゃないだろうな〜〜????
とりあえずパパリンの誤解は『さておき』っとして。
『病院』の言葉に引き引き引き・・・・っとクラゲしゃんのお顔があからさまに引き攣っていく!
が、パパリンは至ってニッコリとさわやかに・・・・・。
(現時点でクラゲしゃんは気付いてはいないのだが・・どうやらパパリン、確信犯的行動であるらしいぞ!!!)
「いんや。あの旧市街地のシャブラニグドゥ医院は先日、原因不明の大爆発で完全にぶっ壊れた・・・。だから、今日行く病院はだな・・・」
「みゅうう〜〜〜〜〜???」
きょ・・・きょういくびょういんは・・・?????
ドキドキドキっとしながら尋ねてくるクラゲしゃんにパパリンはニッコリ微笑んで。
「新市街に開業した『新生・シャブラニグドゥ医院』だ!天然よおおおお!!!」
はははははははははははははははっと高笑いをあげるパパリンの声に。
「みゅうううううううううううううううううううう〜〜〜〜〜〜〜!!」
と・・クラゲしゃんのけたたましいまでの絶叫が重なったのはそれから間もなくしての事である。
ぶろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろ〜〜〜〜!!
きゅい・・・ききききぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ〜〜〜!
ブオン!!!カチャ・・・カチャリ・・・ききき〜〜・・・。
かなり耳障りな音をたって・・・新市街に所在するとはいえかなり鄙びた位置にあるそのボロイ病院の駐車場に、やおら乱暴運転をし、少々自然環境には感心できない排気ガスをド派手に撒き散らし、これまた派手の一言につきる真っ赤なボディの外車(?)がその一角に見事なスライディングで滑り込んできたのは!!!
「をををををををををををををををををををををを〜〜〜!!!」
車の豪華さもさることながら・・・。
バタリっと乱暴にドアを開け放ち・・・駐車場に降り立った一人の男に周囲から感嘆の声が漏れた事はいうまでもない!!
真昼の陽光に浅黒く日焼けした肌、黒髪を燦燦と浴びつつ彼とは誰かって???
何時の間にか高級車なんか購入していたリナパパ・・である!
「ははは!天然〜〜〜!ど〜よ!俺の新車!かのイタリアが生み出した最高のスポーツカー!!フェラーリの走り心地はよお〜〜〜?」
クククっと笑いながら・・・後部座席のバックシートに括りつけたクラゲしゃんにパパリンは感想を求めるのだが・・・。
「みゅ・・・みゅううう・・・みゅうう〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
おめめをまわし、クラゲしゃんは車酔いで引き攣っていたのだが・・。
ガバリっと不意にパパリンはそんなクラゲしゃんを目撃した途端、後部座席に歩み寄りつつ・・・・・。
「大丈夫か!?天然!これも悪血の影響だな!!待ってろ!今すぐ直ちに病院の中に入れてやるからな〜〜〜〜!!傷は深いぞ!気を確かに持つんじゃね〜〜ぞおお??」
と、わざとらしく芝居がかった演技をし・・・・。
如何にも「このクラゲしゃんは重病です」という印象を周囲に与える素晴らしい心遣いを(?)忘れたりはしないのであった・・・。
「みゅううう〜〜〜〜〜・・・・」
だから・・・おれはふじのやまいなんかじゃないぞ・・・。
それに・・・これは・・・おっさんがむちゃくちゃなうんてんしたから・・・。
内心でブツブツと文句を言いながらも、既にパパリンの頭に乗っけられる形で病棟に向かっているクラゲしゃん・・・車酔いで気力を使い果たした事もあり、逆らう事など無論出来るはずもないのである。それをいいことにパパリン・・・。
「安心しろ。お前に万が一の事があったら。リナには俺が上手に言い含めて涙をながせね〜ように・・っと。いっておくからな!!」
ガシっと何時の間にかクラゲしゃんの触手を握り締めつつ、至って真面目な口調で言うパパリン・・・。
「みゅううう〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
しんでたまるかあああああ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!
とクラゲしゃんの突っ込みが哀しく駐車場に鳴り響いていた・・・。
そうこうしている間にもパパリンによってクラゲしゃんは待合室に連行されるに至る。
「インバースさんのお宅のクラゲしゃん〜〜〜〜」
早速お名前が呼び出され・・・クラゲしゃんが強制送還させられてしまったその診察室に居た物は!!!??
「やあ〜〜〜!お久しぶりですね〜〜〜!クラゲしゃん!そうですか〜・・・・。僕が貴方に書初めしてしまった後。貴方が真坂・・悪血に苦しんでいるとは知りませんでしたよ・・よよよよよ・・ああ・・僕とした事が!他でもないクラゲしゃんが不治の病に侵されているのに気がつかなかったとは!!!!」
技とらしく・・白衣の裾でよよよよよっと涙をぬぐいつつ。
「ソレ」はチューリップの形をした名札をピシピシっと叩き、「僕は主治医ですよ・・ははははは!!」といわんばかりの凶悪な笑みを眼の端の涙とは対照的に浮かべて佇んでいた!
そして・・・・それをマトモに直視するにいたり・・。
頭の上でぴくぴくしているクラゲしゃんに、パパリンはそれとな〜く視線を送りつつ。
「で、ゼロス先生。この天然の悪血の治療だが・・何か良い方法あるのか?」
明らかにゼロスペースに混じってクラゲしゃんを苛める道を選んだようだ・・。
「はい〜。勿論です!この名医ゼロスの手に掛かれば・・ふふふふふ・・悪血だろうがナンだろうが・・・あっという間に直して差し上げますよ〜?」
言うが早いかゼロス先生はおもむろにデスクから立ち上がり・・・・。
すたすたすたっと・・・何処へとも無く歩いて行ったと思ったら・・・・・。
「みゅうううううううううう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!」
次の瞬間、ゼロス先生が手にして戻ってきた物体の群れを目撃し。
さしものクラゲしゃんも絶叫をせずにはいられなかった!!!!!
「さあ〜〜〜・・バケツと雑巾と・・・たわしですよお〜〜〜♪安心し下さい。さっきおトイレからもってっきたものですが。ちゃ〜〜〜んっと消毒して洗ってありますからね〜〜〜!さあ・・クラゲしゃん・・・悪血の治療をさせていただきますよ!!!」
「みゅうううううう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
パパリンに押さえつけられながらも・・・必死で抵抗し、暴れるクラゲしゃん!
「何?『鼻血がそうかんたんにおちてたまるか〜〜』だと!天然!安心しろ!墨汁も落ちにくいと相場が決まっている!悪血も墨汁も似た様なもんだああ〜〜〜!!!」
もはやお遊びのつまりが半ばマジとなり・・破れかぶれなことを絶叫するパパリン。
「さあ〜〜〜〜・・・・早速このバケツで洗った雑巾で・・・治療しますよって・・・ぐわあああ〜〜〜〜!!!!」
ゼロスが悪血・・と銘打たれたクラゲしゃんの墨で汚れた可愛い、可愛いお顔にとんでもない雑巾をくっつけようとしたその刹那!!!!
どんがらがっしゃ〜〜〜〜ん!!
がらがらばっきいいい〜〜ん!!
ごきゅる。・・・メキョメキョ・・メキョ・・・。
突如。耳障りな音は聞こえたと思ったら・・・。
「てめええええ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!ざっけんじゃねええええ〜〜〜〜!!」
それと同時に治療用の椅子にパパリンによって押さえつけられていたクラゲしゃんは姿を消し。
その代わりに現れたその男は・・・今まで座らされていた椅子を武器に・・思いっきりゼロスの後頭部を殴りつけたのであった!!!
「よお・・・ガウリイ・・・久しぶりじゃね〜か。コイツは天下に名高い藪医者だ。
ちょっくら成敗しちまってくれね〜か?」
「あああああ!!リナさんのお父さん!!!すっかりガウリイさんの方に寝返っていますうううううううううう!!!!」
頭をセコセコと擦りながらとりあえず絶叫してみるゼロスに・・・・。
「はははははは・・・言われるまでもね〜〜〜ぜ・・・オッサン!!!!」
未だに顔に墨で書かれた落書きを残したまま・・・ついにガウリイはキレた!!!
そして・・・・・・・。
「あ〜〜〜・・これでシャブラニグドゥ医院・・完全壊滅だな〜」
火をつけないタバコをしゃぶりながら・・・パパリンは遠い目をしつつそんな感想を漏らした・・・。
背後の方にグロい・・・何やら骨の折れるような・・関節が脱臼するような・・・。
「ああああ〜〜〜!お慈悲をおおお!お代官さまあああ〜〜〜!!」
「るっせ〜〜〜〜!リナの前で恥かくところだったじゃね〜〜〜かよ!え?オイ!」
と、言う不吉な声を聞きながら・・・・・。
とりあえず・・・「悪血(おけつ)」騒動は一段落がついたようであった・・。
「みゅ〜♪みゅ〜♪みゅ〜♪みゅ〜♪みゅ〜〜〜〜〜♪」
ホースから新鮮な水が盥に向かって勢い良く流れ込んでくる。
それをリナは桶ですくいながら・・・少しずつクラゲしゃんにくっついた泡を流してやる作業に従事していた。
「ったく・・誰よ!うちのクラゲにこんな落書きしたのは!!!」
ぶつくさ言いながらもリナは水浴びをさせて貰ってご機嫌なクラゲしゃんの顔の落書きが完全に落ちた状態であることを確認した。
「ああ。そのクラゲの落書きだが・・・なんだって〜?あの金髪の・・・。今なんだかしらね〜が・・行方不明になってる・・・あのノーミソヨーグルトの〜・・」
今まで黙って縁側で新聞を読んでいたが・・リナの独り言を察知したパパリンがわざとらしく嘘の情報をリナに向かって流した。
「・・・ガウリイね!!いっつもうちのクラゲにちょっかい出して!たま〜〜に現れたと思ったら・・またすぐどっかに逃げちゃって!今度見つけたらタダじゃおかないんだからね〜〜〜〜〜!!!」
「みゅうううううううううううう!!!(怒り)」
リナの言葉を聞き、桶の中で何やら怒り狂っているクラゲしゃんに・・。
ニヤリっとパパリンは快心の笑みを浮かべてやるのだった。
かくして・・・・・。
クラゲしゃんに本当の春がやってくるのは・・・まだまだまだまだ・・・。
時間がかかるご様子であった。