『桶かつぎ』

By ひたきさん   

<<後説>>


原作紹介『鉢かつぎ』



 昔昔あるところに、可愛いお姫様がいました。
 十三歳のある日、姫様は死にか……病のお母様に「観音様のお告げだから」と鉢を被せられます。
 鉢かつぎちゃんの誕生です。
 お母様はその後無責任にぽっく……お亡くなりになってしまい、翌年父様は早速再婚しました。けれども、新しいお母様は鉢かつぎちゃんが大嫌い。シンデレラ扱いで、終いには家を追い出されてしまいます。
 鉢かつぎちゃんは泣きました。
「生んでくれた方のお母様のところへ行かせてください。」
 川へどぼん。
 けれどうつ伏せの鉢は空気を含んで沈みません。どんぶらこっこ、どんぶらこっこと流れていくうちに、結局生きたままどこぞの村へ着いてしまいました。
「うわ鉢人間だ。逃げろ!構えろ!撃て!」
「しくしくしくしく……。」
 普通とは違う格好の少女に、人人は優しくありません。とぼとぼと歩いていると、そのうちに中将様に拾われます。衣食住はなんとかなりましたが、湯殿の火焚きとしてこき使われる毎日。やっぱりここでもシンデレラです。
「ああ、お母様(生んでくれた方)のところに行きたい……」
 辛い仕事に鉢かつぎちゃんはめそめそです。
 そんなある日、鉢かつぎちゃんがいつものように火を焚いていると、中将さんちの四男坊、難攻不落の美青年に一目惚れされ、口説かれてしまいました。
「好きだ!愛してる!ふぉーりんらぶ!」
「そ、そんなこと申されましても」
「もういっちょ、あいにーどゆー!」
 そんなこんなで流されて、鉢かつぎちゃんは四男坊の恋人になりました。
 らぶらぶなもんだからさあ大変です。鉢かつぎの陰口は増えるわ四男坊は「親に反対されたから」と鉢かつぎの部屋に越してくるわ、燃える逆境にますます二人の世界は盛り上がります。
 何とかしなければと思った四男坊の家族(父様除く)は、『兄弟対抗嫁比べ大会』を開催することにしました。鉢かつぎいびりはここで最高潮に達します。もう出て行くしかありません。
「私さえいなければ、若様は……。」
「言うな。私はあなたさえいれば良いのだ。駆け落ちして貧しくても二人で暮らそう。」
「そんな、若様……!」
「姫……!」
 らぶらぶかっぷるもここで最高潮に達します。それでも鉢かつぎちゃんは大会当日、四男坊のために一人で出て行こうとしました。
「姫!何故だ!私は君がいないと……!」
「若様……!」
 その時です。鉢かつぎちゃんの鉢が割れました。何の脈絡もありません。けれど、そんなミステリーも二人の愛の前には問題ではありません。
「実はなんて美しいんだ君は!しかも何故か割れた鉢と一緒に宝物がざっくざく!」
「まあ、死んだお母様の信心のおかげね!観音様ナイス!」
 二人で意気揚々と乗り込んだ『嫁比べ大会』は、美人の兄嫁を抑えて堂々のナンバーワンでした。
 兄嫁達に「歌を詠め」「楽器を使ってみろ」とねちねち言われますが、素晴らしい歌と琴の腕で難なくクリア。結局他の皆にも認められることとなり、しめしめしてやったりです。
 その後、お礼に観音様にお参りに行ったところ、継母のせいで落ちぶれてしまっていた、元鉢かつぎちゃんのお父様とも再会し、子宝にも恵まれ、領地も増えて、これで文句あるってんなら歯ぁくいしばれというほどのハッピーエンドになりましたとさ。
 めでたしめでたし。


◆・・・もしもいるなら。(古典嫌いさんのための読み方レクチャー(笑))

★必読事項★

・文中の短歌について。
 読まなくても話は通じます。古文単語は無視しましょう。
 一単語分かれば全然オッケーです。
 下の句がそこはかとなく分かったら完璧です。下の句は意味の中心らしいので。

・古典の現代語訳文風味です。
 鬱陶しい文章だと思われれば、それはひたきの現代語訳イメージそのものです。
 ろくなもんじゃないので、流しちゃってください。
 全く問題ありません。

・余計な事
 「契り」とは、ここでは主によい子がとーちゃんかーちゃんに聞いてはいけないことの一つです。

後はガウリナへの愛で乗り切ってください。
以上。





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