『Coffin-2』

〜 Side Gourry−0 〜

By Lilyさん    


 あれは棺。
 あれは棺桶。

 彼女を、閉じ込めるための。

 死よりも深く、永遠に。



        ………彼女を、世界から切り離すための………








「やっと、見つけた……」

 古ぼけて、掠れてしまった模様を前に、俺は興奮を抑えられなかった。
 今では無意味な幾何学模様としかとられることのないもの。これを一体どれだけ探し続けたことか。

「これでやっと……お前に会える………………」

 今でも鮮明に思い出せる。
 遠い昔に失った、立った一つの輝きを。
 何よりも…自分の命よりも、守りたいと願った存在。そして。

 ………守ることが出来なかった、ただ一人の人。

 そっと模様に手を伸ばす。
 冷たい、石の感触が伝わってくる。





 それは棺。
 それは棺桶。

 それは死者を入れる為の物。

 生きながら、これに納められた少女は。
 全てが閉ざされる時、何を思ったのか。

 その存在全てを否定され。
 世界を滅ぼす猛毒だと断罪された、少女は。


「すぐにこんな所から出してやる。後もう少しだけ待っていてくれ……」






















 記憶は、遙か過去へと遡る。

 後悔に苛まれた、あの時へと………




げすとるぅむへSide LinaへいべんとほぉるへSide Gourry-1へ