By らぐぢすさん
「リナ?」
「なに〜?」
「俺のこと・・・好きか?」
「なによ突然。」
「へ・・・?」
「何?変な顔で見ないでよ。」
そう言って怒ったように顔を背けてしまうリナ。
おかしい。
いつもなら『な、ななななななによ突然!?』と真っ赤になって声をひっくり返す反応を返すはずなのに・・・。
こないだ家に泊まった時だって恥ずかしさのあまり狸寝入りまでして誤魔化そうとしていたのに・・・。
「リナ・・・俺のこと・・・」
もう一度言おうとしたらリナがテーブルを、バンッ!!と叩いた。
カップが音を立てた。
立ち上がったリナの表情はよく見えない。
もしかして俺、嫌われているのか?何かしたのか?
記憶にない。
以前、満員電車に乗せたコトをまだ怒っているのか?
それとも、リナがいるのにあんなビデオ借りていたこと怒っているのか・・・?
いや、どちらも違うな・・・リナは許してくれたから。
でも俺はリナをここまで怒らせるなにかをしたんだろう。
ソレが解らない自分が悔しい。
解らないままリナを不快にさせた自分が情けない。
リナの態度は何時もと違う。
俺が口を開くたびイライラが増していく。
「り・・・」
テーブルに付かれたままの細い手首を掴むとリナが視線を俺に会わせた。
「離して。」
短く紡がれる言葉には容赦がない。
俺はリナの、言葉、行動全てに困惑していた。
「どうして・・・俺何かしたか?」
「・・・・・」
「お前の嫌がるようなコトしたか?」
「・・・・・」
「・・・俺、リナが言うみたいにクラゲだからさ・・・知らないうちにリナの嫌がることしていたのなら謝るよ」
「・・・・・」
「ごめん。でもこれだけは解ってくれ、俺はリナを愛してるんだ。誰よりも!何よりも!!」
「・・・・・」
「リナ?」
下唇を噛みしめて俺から視線を逸らすリナ。
外を睨むように見ている瞳。
もう一度俺の想いを言おうとしたところでリナが叫んだ。
「あんたねぇ・・・あたしがなんで怒っているのか解ってないの!?本当に!!」
「・・・あぁ、すまない。」
「そう、じゃぁ言いますケド!人前で・・・あ、愛してるとか、す、好きか?とかそんなこと聞かないでよ!恥ずかしいでしょ!!」
「へ?」
そう言われて見渡せば、ここは大学近くの喫茶店。
店の客達がじっとこちらを注目している。
リナにばかり気を取られて周りなど見えていなかった・・・。
あぁ、なんだ・・・リナはコレに怒っていたのか。
「じゃぁさ・・・」
「何よ?」
「ふたりっきりの時、聞いても良いか?」
「な、この前・・・散々言ったでしょ!?」
「聞き足りない♪」
にっこりと笑う。
不安は消えた。
リナが呆れた顔をして、どかっと椅子に座るとすっかり冷めた紅茶を一口。
「こっちは言い飽きたわよ・・・」