By らぐぢすさん
講義の後、講堂を後にして中庭を通り抜け・・・
見慣れた栗色の髪の後ろ姿。
「りっ・・・」
呼びかけて固まる。
楽しげに彼女が話している相手は見知らぬ男。
黒い髪のそいつがなれなれしくリナの髪に触れた。
リナは俺にするように手で払い
「髪が痛むでしょ!」
と叫ぶ。
そのやりとりは、かなり親しい。
ムカ。
っとする。
そのまま見ていると、何か話していたリナが黒髪の男の首に腕をのばし・・・
「おい。」
その前に俺が黒髪の肩に手をおく。
そして・・・警告。
「リナに近づくな・・・殺すぞ・・・」
ボソリとつぶやくと、リナの声。
「よっしゃ!ガウリイそのままルークのバカ絞め上げて!」
「わかっ・・・ん?ルーク?」
よくよく見ると髪が黒いものの、間違いなく見知った顔。
「なんだ、ルークか?」
「てめぇ・・・」
ぎちぎち音を立てながら振り向く。
リナとは少し違う色の瞳が怒りにそまっていた。
そして、
「今、本気で殺気ぶつけやがったな!?誰が、こんな貧乳女!頼まれたって手出すか!」
自雷を踏む。
ドげっしっ!
リナの跳び蹴り。
うずくまるルーク。
・・・あーあぁ、痛そうだなぁアレ・・・それはそうと、
「そう言えば・・・どうしたんだ?その髪・・・更正したのか?」
「・・・さらっと話題かえやがったな・・・」
呻りながら俺を見上げる目。
「なーんか、好きな女に言われたんですって『赤毛は嫌い』って。」
「へー」
リナがそう言って、うりうりとルークの頭を小突く。
「結構可愛いことするじゃない?ルークちゃん♪」
う゛ーーーっとまるで獣のように睨み上げる目はやはり”あの”ルークだった。
「ま、いいんじゃないか?似合ってるし」
「そね、似合ってるわよ。」
「お前ら・・・なんか楽しんでねぇか?」
まぁ、楽しいけど。
「そうじゃなくてさ、良い方に変わるならどんなことでもOKなんじゃないのか?人間そう簡単に変われるもんじゃないしな。」
そう言ったら何故か苦虫を噛み潰したような顔をするルーク。
そして、思いだしたようにリナがぴょん♪と俺に飛び付いた。
「あ、そだvガウリイご飯おごって♪」
「なんだよ唐突に・・・」
「もう今月ギリギリなのよ♪ね?ねっ?」
「ふぅ・・・ま良いけど・・・その変わり・・・」
ニヤリと笑うと真っ赤になる顔。
「んじゃ、ガンバレよルーク♪」
何か抗議の声を上げているリナの肩を抱いて地面に腰を下ろしたままのルークに背を向けた。
ひらひらと後ろ手に手を振れば、何か呟いているらしいヤツの声。
「一番変わったのはテメェじゃねーかよ・・・見てるこっちが気持ちワリィ・・・」