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狭めの小屋には不釣り合いなほど大きめの――少々粗末なベッドに、二人は一糸纏わぬ姿でぴったりと抱き合って横たわっていた。
「――リナ?」
柔らかな白い肌を撫でながら、ガウリイが耳元で囁く。
「……ん……」
リナは呻くと、少し目を開いた。
「――ガウ――リイ――?」
名を呼ばれて微笑むと、優しくキス。
リナも微笑み返し、受け取る。
「愛してる――リナ」
「――今回初めて――言ってくれたんじゃない?」
「そうだったか? おまえもまだだったんじゃないか?」
「どうして、あたしのコトばかり覚えてるのよ?」
「――そりゃあ、言われたら嬉しいから。だから、な?」
あからさまに期待されて、リナは頬の赤みが引かない。
「ばか……っ」
さらに愛おしそうに抱きしめるガウリイ。
「――愛してる――わよ、誰より――も、あんただけ――」
「――オレもだ――。
おまえだけを――愛してるよ」
リナはしがみつくように抱き返した。
「会いたかった……。長かったぞ、えらく……」
「あたしだって――たまんなかったわ……」
「今回は何日いられるんだ?」
「――み――三日――よ」
「いつもより短い――んだな」
「――しかたないわよ。
いくらこの地域の魔族出没の原因を調べるために雇われたって言っても――、攻撃の作戦がある時には、本陣に戻ってないとマズイじゃない」
ベッドに横たわって話しながらも、お互いの手は相手に回され、撫でるように動いていた。
時折、キスが交わされ、会話が止まる。
「隣国の傭兵のオレとこうしてるってのだけで、充分マズイと思うんだがなぁ」
「それはあんたもでしょ?
この場所の調査に来た魔道士を報告もしないどころか、情を交わしてるなんて、契約違反の極みだわ」
「――オレもそう思うが――、ホレちまったモンはしかたないだろ?」
リナはまた赤くなり。
「――あたしと会って――こうなったコト、後悔して――る?」
「全然。
むしろラッキーだったと思ってる」
あっけらかんと言うガウリイに、全く含みは感じられず――。
「こんなにいい女に出会えて、ホレ合えたなんて、幸せ以外の何でもないじゃないか?
それともおまえは――後悔してるのか?」
一抹の不安の含みに、リナは即座に否定していた。
「そんなワケないでしょ!
あたしだって――あたしだって――、幸せなんだから――」
ガウリイはにっこり笑うと、またキス。
リナも今のを証明するように、応え。
そのまま、二人は数日ぶりの逢瀬に浸っていた――。